【コラム】美少女ゲーム考2: 選択肢やそれに準じるシステムは必要か? その是非は?

コラム その他ゲーム全般

不定期コラム第三回目は「【コラム】美少女ゲーム考1: 私はギャルゲ的な展開や要素を楽しめなくなったのか?」に引き続きギャルゲに関する記事でございます。

今回は特に「選択肢」の要不要・是非なんかを考えてみようかなと。

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個人的にはなくてもいい

まず書き始める前の段階での私の考えを述べておきますと、私は(少なくとも今となっては)選択肢の存在は必要不可欠とは思っていません。

複雑なフラグ管理はいらないと思っているし、少なければ少ない方がいい……思い切って選択肢をなくしてしまってもいいとさえ思っています。

ではどうしてそのように思うのか、以下に書いていこうと思います。

効果的に使えている作品が少ない

最初に思い当たるのは、選択肢システムを効果的に使えていない作品が多いような気がするというものです。

言い換えれば、「他の作品・このジャンルがそうであるから」という理由でテンプレート的に入れていそうな作品が多いということ。

選択肢は文字通り主人公(≒現在の視点となっているキャラ)の言動を決めるものです。 もともとシステム的な意味でのゲーム性が低いアドベンチャー/ビジュアルノベル系ゲームの、数少ないゲームらしいシステムと言えます。

しかし、これが単に「お約束のシステム」となりさがっているように感じるタイトルが多くはありませんか?

価値が等価の選択肢で悩ませるならともかく、どれを選んでも大差がなさそうな選択肢(ex. ラーメンと蕎麦とうどん、どれを食べるか……レベルのもの)で悩ませられ、しかもそんな無意味そうな選択肢にフラグを仕込んであったりすると、そりゃもうひどい話になります。 もっとも、そこまでひどいゲームは少ないと思いますが。

ここまでは行かなくとも、どうでもよさそうなシーンで選択肢をポロッと「なんとなく」出しているようにしか思えない作品は山ほどあります。 選択肢はストーリーへの没入をいったん妨げる側面があるので、どうでもいい選択肢は没入感を下げるノイズでしかないと私は感じます。

そのほか、大方の意にそぐわない選択肢ばかりであったり、選択肢の内容に齟齬が生じるような結果(選択肢の内容の行動を実行しようと思ったけどやめた!的な)が見受けられると、プレイヤーにとってはストレスが生じるという欠点もあります。

真かまいたちの夜 11人目の訪問者(サスペクト) (特典なし)

逆に、それこそ「かまいたちの夜」の選択肢によるシナリオ分岐のように、選択肢がそのほとんどが有意味であり、バタフライ・エフェクトさながらに複雑かつ思いもよらぬ影響を与えるものは選択肢システムをフルに活用した例と言えます。

例えばここに着想を得て、「恋人とのデート。 アイスをおごるか、クレープをおごるか」という選択肢を出現させ、アイスをおごった場合はなにごともなく物語が進行していくが、クレープの場合は事故に遭遇して昏睡状態シナリオへ突入……くらいに、なんでもなさそうな選択が重大な結果を招くアグレッシヴな変化をもたらすのであれば、先ほどの「どれを選んでも大差なさそうな選択肢」も有意味かもしれません。

※ちなみになぜ事故に遭うというシナリオを思いついたかというと、クレープを食べた場合(≒平常時)はタイミング的に事故に遭う運命/アイスを食べたことにより途中でトイレに行く→わずかに時間差が生じてギリギリで事故に遭う運命を回避……という、単純なお話です。

選択肢や、その代替システム自体が煩雑

上記で「選択肢はストーリーへの没入をいったん妨げる側面がある」と書きましたが、それとも関係する理由です。 端的に言ってめんどくさいんです。

結局、自分で言動を自由に選択しているようでいて、最終的にはフラグ立てという「正解探し」なわけです。 相手は生身の人間ではなく、完全に、スクリプトで反応が固定されています。 タイミングや抑揚などで反応が変わるわけでもなく、ただひとつの正解ルートを行かないと最も良い結末を迎えられません。

そのため、プレイヤーは選択肢が出るたびに「どれが正解なのだろう」と考えることになり(そしてストーリーからいったん離れることになり)、どれかひとつを選ぶことになりますが、失敗なども含めると総当り戦になりがちです。 これって果たして慣例的に呼び習わされているように“攻略”って言えるんでしょうか?

また、そうした作業感や煩わしさをなんとか払拭しようと、ちょっと変わった分岐システムを採用しているタイトルもぽつぽつ現れていますが。

例えば。 直近でプレイして「「STEINS;GATE」シリーズをひととおりプレイしたよ。」に書いたSTEINS;GATEには「フォーントリガー」というシステムがありました。 これは、登場キャラから不定期にメールが届き、そのメールにどう返信するかによって分岐していくというものでした。

STEINS;GATE

発想自体は面白いし、2010年当時は主要なコミュニケーションツールだったメールでのやりとりということで、既存作品よりも登場キャラクターとの距離が近く感じられるといういいアイデアだったのは間違いない、のですがね。

メールは場所やタイミングを選ばずに送られてくることもあって。 ややシリアスなシーンで大したことのないメールが届くこともあって、ある意味リアルと言えなくもないのですが……なんというか、雰囲気やテンポを壊してしまっているのが難点でした。 また、分岐・正解の選択肢がわかりやすいとはいえないのもイマイチ。

また例えば。カデンツァ フェルマータ アコルト フォルテシモという長ったらしいタイトルの中二病異能バトル系AVGでは、戦闘中に限定されるものの、テキストを読み進めている途中で必殺技を発動し、その後の戦いのゆくえを左右できる……と聞こえは良さそうなシステムを搭載していました。

カデンツァ フェルマータ アコルトフォルテシモ (通常版)

しかし蓋を開けてみれば、テキストの質的にも見た目の制約的にも情景・状況が思い浮かべにくい上に、その必殺技がどんなものなのかサッパリわからない(妙ちくりんな中二病的当て字で想像不可能)ので、どのタイミングでぶっ放せばいいのか全くピンと来ないという残念仕様。

どこで発動すればいいんだ?と常に思いながらテキストを読むので没入感などありませんし、試しにぶっ放してみても「しかし、うんたらかんたら」と敵に裏をかかれ必殺技で決着を決めるのに失敗した“らしい”とのテキストが……思わず、「知らねーよ!」と言いたくなるほどにはひどいシステムだったのです。 これなら普通の選択肢のほうが100倍マシです。

とまぁ、システム的な意味で低いゲーム性を補おうとした結果、よけい悪い方向へ転ぶこともままあるので、いっそIZUMOやCastle Fantasia、ランス(どれも古いゲームで例としてはアレですが)などのように、RPGやSLG/ストラテジーとミックスしてしまったほうがいいような気がします。 現に、これらはシステム面でも一定以上の評価を得たタイトルですし。

そんな中、選択肢の存在意義とは

と、前項までで私の考えを書いてきましたが、逆に選択肢システムの存在意義についても考えてみようと思います。

私としては、例えば複数のヒロインがいるとして、共通ルート後に読み進めたいヒロインを選択し、あとはひたすら物語を読み進め没頭する……というシステムが一番いいんじゃないかと思いますが、それだとできない表現があります。

それが、先程も書いたバタフライ・エフェクト的な表現であり、あるいは、ちょっとした差分表現・サブエピソードであったりします。

選択肢はその効果から重要なものというイメージが強いですが、実際は必ずしもそうであるべきと言い切ることはできません。 わかりやすい例で言えば、メガネっ子のキャラがいて、選択肢の受け答えによって次の日からコンタクトにしてくるか、そのままメガネをかけてくるか……と分岐するような差分表現であってもいいわけです(そこからシナリオ分岐すればなおよし、ですが)。

結局、選択肢での選択に対して何かしらの意味のあるレスポンス・変化があればいいのですから、内容のない無駄な選択肢だけを廃止する……もしくはブラッシュアップして意味のあるものに昇華させてくれればいいのです。

また、選択肢を選んだことによって、他の選択肢では聞くことのできないサブエピソードを相手が語り始める……というようなものも、有意味と言えます。 こうした細かな変化によって、普段見ることのできない一面などを発見するのに近い体験を通すことで、よりそのキャラクターの深みや魅力が増すという良い効果も望めますし。

この細かな分岐によるアレコレは、本項はじめに書いたように、単にヒロインを選択するだけのタイプだと表現しきれない部分ではあります。 もっとも、ヒロイン選択後に“有意味な”選択肢を盛り込むことで解決できそうではあるんですがね。

選択肢も量より質。 無駄なものは無駄

と、ここまで書いてきて、前項の最後に思いついたシステムがなんだかんだで理想的なんじゃないかと思います。

正直なところ、ヒロイン攻略とか言っても攻略感もなければ達成感もないんで、フラグ立てって単にめんどうくさい作業でしかないと思っているんです。 事実、最近は旧作や移植作であれば最初から攻略情報を見て、ストーリーだけを楽しむプレイになっていますし。

しかし、めんどうくさい作業に感じるのは、「そうしないと目当てのヒロインのルートに行けなかったりする」という点が原因なので、先に書いたように共通ルート後にヒロイン選択でいいと思うんです。 その後であれば、有意味な選択肢による分岐……それこそバッドエンドなども含む結末に至るまで、ストレスなく楽しめると思うんですがね。

また、無駄な選択肢とその結果を削るということは、シナリオライターの無駄な労力をカットできるという点もメリットになると思います。 お約束だから~ということで、どうでもいい選択肢への導入と結果のシーンを書くくらいなら、その分の労力をメイン部分に回したほうが全体のクオリティは上がるからです。

慣例的にそうだからと数の規定や基準(があるのか知りませんが)に縛られて選択肢を無理矢理放り込むのではなく、必要なものに絞って選択肢を投入するのが最も理想的だと私は考えます。 よって、選択肢は不要ではないですが、今のような「とりあえずの選択肢」を肯定するものでもない、といったところでしょうか。

数を抑えめにしてひとつひとつの重要度や意義を増した選択肢を厳選して配置するか、数とバリエーションと変化に富んだ選択肢を用意してバタフライ・エフェクト的に多様性を持ち味とするか……そうした方向性で作られた作品だと、作り手もプレイヤーも互いに無駄な労力を割かなくて済むのではないか、と私は思います。

というわけで、「選択肢は有意味かどうかが重要で、無駄な選択肢は無駄でしかなく不要」というのが私なりの結論でしょうかね。

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