「蒼き翼のシュバリエ」王道って、いいもんですよ。

蒼き翼のシュバリエ イメージ PS Vita
丁寧に語られる、正統派王道ファンタジー。

光と闇の対立。 聖なる騎士と闇の魔王との戦い。

手垢がつきまくって、もはや陳腐とも言えるような題材ですが、そこを丁寧に作り上げるとそれは「王道」とか「正統派」というやつになります。 今作も、その類。

Wizardryライクな作品ながら、キャラクターやストーリーに力を入れた作品「円卓の生徒」のリメイク版となる本作。 満点・完全版とは言えない部分もほんのちょっぴりあるものの、基本的にはより遊びやすくなった「円卓の生徒」そのものであり、未プレイならば手に取る価値は十二分にあるでしょう。

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概要: リメイクといいつつ、良くも悪くもあまり変わらない。

公式トレーラーが2つあるので、まずはそちらから。

PS Vita 『蒼き翼のシュバリエ』PV第1弾
PS Vita 『蒼き翼のシュバリエ』PV_第2弾

すでに書いたとおり、本作はかつてPC/Xbox360/PSPで発売された「円卓の生徒(以下、円卓)」という作品のリメイク版となっております。

リメイクと言うだけあって、キャラクターのビジュアル変更や遊びやすさの向上、新たなコンテンツの追加などが行われていて、より遊べる内容になっているかなと。

他方、基本的な仕様や内容について、変更がない部分も少なくなく、直近でPSP版円卓の生徒をプレイしていた(本作に間に合わせるためにプレイしてました)身としては、新鮮味はそれほどでもなかったかなと……と言いつつ、かなり楽しんだんですけどね。

ストーリーは、一度敗北してからのリベンジ……と書いてしまうとシンプルにすぎるかもしれませんが、丁寧にキャラクターやストーリーの描写が行われ、中だるみしないテンポで展開していきます。

プレイ時間だけ見れば中編くらいの規模ではありますが、プレイ後感は長編大作をプレイしたかのような充足感がありました(特に円卓初回クリア時)。

だけでなく、本作はWizardryライクということで、クラシカルなターンベース戦闘にもかかわらず緊張感がありますし、ハック&スラッシュと形容されるようなハイテンポ戦闘と報酬の獲得は色褪せず楽しませてくれます。

Good: 王道で魅力的なキャラクター、ストーリー。

本作のもととなった円卓はそもそも、Wizardryライク……3DダンジョンRPG・ダンジョンクロウル系作品に、より幅広い層にリーチするようにとキャッチーに制作された経緯があります。

とりわけPSP版は、後のデモンゲイズに至るDRPG Progressという角川ゲームスとの共同プロジェクトの第一弾として移植されました。

ちなみに舞台となる世界を共有する作品群の時系列は、円卓の生徒(及び本作) → 剣の街の異邦人 → デモンゲイズ1・2 ……となっております。

また、剣の街の異邦人の完全版的立ち位置の「新釈・剣の街の異邦人」が本作に同梱されています。 物語的なつながりは希薄ですが、設定などは継承している部分があり、“新釈”版で追加されたイベントには、円卓及び本作とのつながりを強化するものがあったりもします。 内容的・難易度的に本作のプレイ後に触ることを推奨します。

剣の街の異邦人については、後日に別の記事にて触れる予定です。

そうした背景・経緯もあってか、ともすると陰鬱でダークな印象の強い“これ系”とはうってかわり、一般的で人気のあるファンタジーRPGに見られるような、比較的明るめな作風となっています。

なにより、リメイク元のタイトルが「円卓の生徒」です。 円卓の騎士ではなしに。 もちろん学園モノというわけではなく、あくまでも、騎士見習いとしての生徒、って感じですかね。

その生徒たちを含め、メインキャラクターは個性的で魅力に溢れています。 生徒に関しては、それぞれなにかしら可愛らしい一面を持っていたりいなかったりしますし、“先生”として彼らと接していくうち、だいたいどの生徒も可愛く思えてくることでしょう。

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サウル(左)とポポログ(右)。 本作には人間だけでなく、エルフやドワーフ、そして獣人っぽいミグミィやネイといった種族などが登場。

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メインヒロインのひとり、エルサ。 物語にも密接に関わってくるキーパーソンの一人で、彼女の苦悩や葛藤、そして成長にも要注目ですよ。

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序盤で知り合うことになるミグミィのロロン。 こんな可愛らしい外見でありながら成人であり、飲んべぇというキャラ。 円卓の頃から推し生徒です! あ、いや、一人の生徒をえこひいきにしては先生失格ですね……。

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個人的に円卓プレイ時点で「この子ちょっと影が薄いなぁ……」と思っていたフェアリーのチュップ。 まぁ、やはり物語上は影がやや薄いのですが、面談などでちゃんと彼女に向き合ってみると、やっぱり最終的には可愛い生徒だなぁと思えるようになりました。 あと、ビジュアルも今回のほうが好み。

特にキーパーソンであるエルサ、ルーミあたりはとりわけ魅力的に感じられるようなアレコレが満載ですし、他のメンツもいい感じのチョイス・テイストになっています。 みんななんかこう、ワシワシしたりモフモフしたりしたいですね……あ、バーゴはまず風呂に入ってきてね。

ストーリーも、伏線・ツイストも仕込みつつも、非常に丁寧な作りとなっているように思います。 そもそもの話で割とデカいツッコミどころがあるんですが、プレイ中はそこが全く気にならないほどテンポよく、それでいて味わい深く物語を楽しませてくれます。

陳腐な書き方をあえてすれば、「100年前に負けた相手に、リベンジして世界平和を取り戻す」なんですけど、そこにうまいことキャラクターを配して、いい感じに情報を開示して、ストレートに盛り上げて、きれいに締めることで、「丁寧にして味のある王道ストーリー」に仕上がっているんです。

王道と見せかけて実は……とか、そういう奇をてらった作品が多いなか、本作はツイストこそあっても、王道・正統派の範疇内でのこと。 内容自体も「やっぱりかー!」っていうものなんですが、マイナスにはなっておらず、安心して楽しめるたぐいのものになっているかなと。

同社の作品は、先に挙げた関連作のほか、Wizardry XTHやオペレーションアビスなんかを触ってきましたが、今の所本作のキャラ・ストーリーは同社他作品より図抜けて素晴らしいと思います。 だからこそ、クリアまで決して重厚長大なプレイボリュームというわけでもないのに、プレイ後感が大作長編RPGのそれに勝るとも劣らない印象だったのかなぁと思います。

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物語や作中世界に深みをもたせたり理解を促すためにフレーバーテキストが配されているわけですが、本作のそれはまさにフレーバー。 例えば最初に訪れる村は人口350人。

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そして次に訪れる“都”の人口が1400人。 種族設定、文化、情勢、背景などもろもろあるので判断は難しいですが、それにしても“都”であるにもかかわらず先の村の「4倍程度の人口しかない」という状況からも、世界が危機的状況にあろうことは想像に難くありません。

Good: 素晴らしき楽曲たち。

楽曲の良し悪しというか、好みは人によりけりですが……私としては良曲・名曲揃いだと思います。

海外のファンタジー作品のような、とにかくエピックで雄々しい感じではなく、JRPG的なテイストを持ちつつ、キャッチーでエモーショナル、特にボス戦は耳に残る上に気分を高揚させるメロディやフレーズが素晴らしいです。

前項で“比較的明るめな作風”とは書きましたが、世界は闇に侵食され、希望がじわじわと、しかし確実に塗りつぶされていくのを待つような状況です。 よってフレーズも勇壮というよりは、悲壮感や悲哀を感じるものも多く、そのあたりが個人的好みにヒットした感じですね。

とはいえ、暗いトーンの曲ばかりかといえばそうでもなく、主旋律は割と前向きというか、光を感じるものになっています。 このあたりのバランスが秀逸で、情感を掻き立ててくれます。

ぜひ、本作の楽曲にも耳を傾けてほしいですね。

なお、円卓からのリマスター楽曲が本作で使われていますが、オリジナル版との切り替えも可能になっているというウレシイ仕様です。

オプション画面

リマスター版のほうが、使用している音源がリッチになったかな?という印象ではあるものの、オリジナル版から大きくイメージが変わるものでもないので、プレイ済みの人でもすんなり受け入れられるはず。

Good: 快適なトレハン・ハクスラライフを支えるシステム群。

ストーリーやキャラに秀でた本作ではありますが、本来のキモとも言うべきは、やはり戦闘というかキャラの強化……つまり、ハック&スラッシュな遊びであります。

敵を倒して経験値を得、良い戦利品を漁り……そうして強くなったら、更に強い敵により良い戦利品を獲得すべく挑戦する……というような。

基本的に旧来の作品は、エンカウントするまで歩き回るなりエンカウントポイントを巡るなりする必要がありましたが、今作ではトラップエンカウントというものを採用することで簡便化を図っています。

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これがトラップポイントです。 ここに餌となる食材などを置くことで、敵をおびき寄せます。

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とはいえ餌はなんでもわけではなく、その土地・場所によって食性はさまざま。 合わない餌を置いても無駄になるだけなので、ちゃんとマップで確認しましょう。

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セット完了! ちなみに、餌にはランクが存在していて、高ランクのものを仕掛けると強い敵が出現します。 できるだけ分相応の餌にしておくほうが無難ですが、あえて強敵に挑んでハイリスク・ハイリターンを狙ってみるのも一興。

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餌を仕掛けてから、1度戦闘するか別の場所に餌を仕掛けると、先程のトラップポイントのアイコンが変化。 はてさて、何が出るやら……。

同社他作品と比較すると、待ち伏せ(剣の街の異邦人)やジェム・サークル(デモンゲイズ1・2)の前身とも言えるシステムですね。

即戦闘に入れるわけじゃない・場所にあった餌の用意が面倒……などなど、どうしても後発の作品よりは不便なところはありますが、それは逆に言えば、順当にユーザビリティが改善されていったことの証左でもありましょう。

まぁ、トラップエンカウント周りは、リメイクでもあまり変更はなかった、というわけですが。

さて、本作ではキャラの強化は経験値を得ることによるレベルアップだけでなく、装備品の獲得も重要になってきます。 レベルを上げればいいというわけでもないバランスということですね。

トラップエンカウントでは確実にエンカウントできるというメリット以外にも、(倒せれば)何かしら確実に装備が獲得できるというメリットも併せ持っており、経験値と装備が手に入る……一挙両得のシステムと言えます。

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トラップエンカウントで登場した敵の中にはリーダーが存在しています。 リーダーを素早く倒せなかったり、放っておいたりすると、装備品入りの宝箱を持って逃げちゃうので、迅速かつ的確な行動で確実に(まずはリーダーを)倒すことが重要ですね。

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無事に倒せたらお宝を獲得! 未鑑定状態で出てくるので、スペルを使うか拠点に持ち帰って鑑定しましょう。 何が出るかは……運次第。 いいものわるいものたくさんあるので、一喜一憂して楽しむのです!

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とはいえ、常に欲しいものが手に入るとは限りません。 不要な装備品は売り払ってもいいのですが、魔法の炉に入れることで“武器のカテゴリーごと”強化できます。 こっちのほうが長い目で見るとお得、かな?

特に魔法の炉との相性も良く、アイテムの引きが悪くても、決して無駄にならないサイクルができやすいのが良心的だなぁと。 コツコツと装備厚めをして、不用品を魔法の炉に放り込んで装備カテゴリーの強化をしていけば、中盤~終盤でじんわりと有利になる、気がいたします。

さて、生徒を率いて戦闘だけしていれば“先生”と言えるかというと、そうでもありません。 魔王との戦いは生徒たちとの信頼関係・絆が重要である(確固たる理由もちゃんとあります)ため、彼らの信頼を勝ち取っていくのも大切なことです。

ソウルゲージ

信頼度はソウルゲージと呼ばれるもので表されます。 いい感じに戦えたり的確な選択をすれば上昇し、ボロクソにやられたりイマイチな選択をすれば下がります。 また、絆の力たるユニオンスキルを使ったり、生徒と食事を行うことでも上昇します。

信頼度……ソウルゲージを上げる方法は上記のように様々な方法があります。 まぁ、手っ取り早いのは共にいい感じに戦い、勝っていくことですが、合間に食事に誘うことでも効率的に胃袋……いや、心を掴んでいけるでしょう。

で、このソウルゲージを貯めるとソウルランクが上昇するタイミングがあります。 ソウルランクの上昇によるメリットはサブクラスの開放やユニオンスキル周りの強化もありますが、大きいのは経験値補正ですかね。

ソウルランクが高い生徒に関しては、戦闘後に手に入る経験値に上方修正がかかるんです。 よって、絆を深めると成長が速くなる=強くなるのが速くなる、ということですね。

更に、生徒の信頼を勝ち取っていくほど、“先生”である主人公にも経験値ブーストが積み重なっていきます。 仕様上、主人公の成長速度は誰よりも速くなるでしょう。 信頼関係・絆こそ強さなのです。

なお、ソウルランクを上げる場合には面談が必要不可欠ですが……面談は単純に戦力強化の手段として以外にも、生徒たちが何を思い、考え、悩んでいるのかに触れる機会でもあります。

彼らの言葉や想いに耳を傾けることで、単なる戦力としての生徒から、愛すべき生徒になっていくことと思います。 ほんと、かわいいっすよ、生徒たち。

Good: 円卓と比べ、更に遊びやすく改善された点の数々。

円卓自体は割と古い作品で、当時の同系作としてはそれなり以上に快適だったのだろうとは思うものの、やはり今となっては「ここがこうだったら」「現在のあの機能があれば」と感じてしまいます。

しかし、そこはリメイクということで、全部が全部というわけではないですが、大幅に改善されています。

まず、同社他作品にも採用されている「自動移動」と「高速戦闘」が本作にも実装されました。

「自動移動」は一度歩いた場所であれば、マップ画面から指定してやるだけで、自動でそこまで移動してくれるというもの。 いわゆるオートラン的なものですね。

この手のゲームではちょっとしたミスや、不運によって仲間がやられてしまうことも珍しくありません。 そうなってしまうと探索の続行が困難なので、一度態勢を立て直す必要があるわけですが、そういうときに便利なのがこの機能。

階層をまたいで移動はできませんが、同じ階層であり、なおかつ、道がつながっている場所であれば、再突入後の探索再開もラックラクです。 同系作品には是非つけて欲しい機能です。

「高速戦闘」は攻撃などのエフェクト表示などを一瞬でスキップするというもので、コマンド入力だけしたら実行が文字通り一瞬で行われます。 一度行動した後ならリピート行動もできるので、2ターン目以降は更に速やかに戦闘を進行できます。

まぁ、どちらかというと格下の雑魚戦などに使うもので、ボス戦で使うと“速すぎて”何が起こったか、何をしてきたかなどを見落とすことになってしまうのが玉に瑕。 ログを見返せば確認こそできるものの、二度手間には変わりないので、要所要所で使う感じがスマートな気もします。 強敵相手に攻撃連打だけで勝てるゲームではないので、情報は大切です。

その他、リメイクにあたってはキャラクターのビジュアル変更のほか、初期特性値(ステータス)の変更・振り直し可能化、クラスチェンジの無制限化などが追加。 これはキャラの無個性化につながるという見方もできますが、個人的には好意的に受け止めています。

まず、主人公固有のビジュアルや性別の設定などですが、

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主人公のみ、男女と不明から性別を設定可能。 能力や装備には影響しませんが、一部の会話などで変化が見られます……が、好みでOK。 百合好きなら女性がいいんじゃないでしょうかね!(私は女性を選びました)

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女性だとこんなん。 むっちりしてますね……。

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性別不詳なミステリアスな感じにも。

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嬉しいことに、PC版円卓のビジュアルも収録。 旧版のほうに強い思い入れがある人はこっちで。

……と、このように新旧のビジュアルも選べるようになっています。 また、プレイの途中からでも性別も含めて変更が可能になっています。 細かいところではサブクラスの設定も早期に可能になりました(円卓ではクリア後まで設定できませんでした)。

続いて、仲間も含めた“転生”ないしキャラクターメイキングの仕様について。

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キャラ加入時や転生時にキャラメイクが発生。 名前やビジュアル変更のほか、特性値やクラスの設定が可能です。

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魂の元型は、初期特性値の指定と、特性値の振り直しが可能。 ちなみに、特性値によってクラスの制限が生じたりはしません。

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クラスはメインクラスとサブクラスが設定でき、両クラスの装備やスキル・スペルが使用可能です。 長所を伸ばしたり、短所を補うといい感じ。

ここは大幅に簡便化しましたね。 まず特性値の振り直しですが、これは円卓ではできなかったことです(もっといえば、同社他作品でも今回初だと思います)。

割り振れる特性値は基本的にメインクラスに設定したクラスのレベル依存ですが、それ以外に制限はありません。

また魂の元型という、いわゆる種族(の初期特性値)に相当するものを変更もできるので、見た目が華奢なチュップの魂の元型や特性値割り振りを前衛向きにして、敵の攻撃を一手に引き受ける壁役になってもらう……ということも可能です。

ここは人によっては「ヌルくなった」とか「キャラの個性が薄れた」と感じる部分でもあると思います。

が、そもそも本作は別に高難度を目指しているわけでもないですし、一応、キャラの個性はキャラ固有のスキル(例えばサウルならPTメンバーの命中率20%UP、ルーミならPTメンバーの物理被ダメージ20%軽減……などなど)で確保してあります。

もちろんキャラに合った魂の元型を選ぶ・選ばないもプレイヤーの自由なので、「いや、やっぱりチュップみたいなフェアリーは打たれ弱くないと!」みたいなこだわり・雰囲気重視もできるので、個性を薄くするかどうかは自分のさじ加減とも言えます。

それらを抜きにしても、過剰に割り振ってしまった特性値を他に回す……ということができるのは、単純に嬉しいなぁと。

クラス周りも手が入っていて、円卓だとサブクラスの設定には貴重品(高難易度モードを除き、入手数が限られていました)の消費をする必要がある上、設定した場合はメイン・サブに経験値が分割されるデメリット・仕様もありました。

よって、円卓の頃はサブクラスが設定できるようになったからと、何も考えずに適当に設定してしまうと、あまりサブクラスの特性を活かせないばかりか、メインクラスの成長も阻害してしまったりと、苦しい状況に陥る可能性があったわけです。

そこが本作では、メインサブ問わず無制限に変更し放題になりましたし、経験値もメインクラスは100%もらえて、サブクラスは50%もらえる……という仕様に。 これによって、サブクラスは設定可能になったらとりあえず設定しておくとお得!というものになりました。

これに伴って円卓の頃より体感の成長スピードが上昇しましたし、メインかサブのクラスが一定レベルに達するごとにもらえるボーナス特性値の存在もあって、色々なクラスの組み合わせを試してみたくなる仕様になったと思いますよ。

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GUIも刷新されています。 こちらはPSP版円卓の画面。

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そして本作の戦闘画面。 どちらが見やすいかは……好みもあるかとは思いますが、一覧性は上がったんじゃないかな、と思います。 ちなみにミンツ(メガネエルフ)に盾役になってもらってます。 ヘイト集めそうというか誤解されまくりそうなキャラなんで。

ちなみに、遊びやすさ……とは違うんですが、難易度周りが円卓とは少々異なっているようです。

円卓ではノーマル・ベテラン・MASTERが存在し、MASTERは引き継ぎ前提の高難易度モードという位置づけでした。

本作ではノーマルとイージーの2種類に難易度が統廃合されたのですが……公式の生放送における安宅氏の言によれば「MASTERがデフォみたいな感じ」とのことで。

実際にプレイしてみて、円卓でプレイしたノーマルと今作のノーマルでは敵の強さが違うなぁと感じていまして……円卓では苦戦しなかった相手に苦戦したり、ボスの攻撃が苛烈だったりしてウヒャー!となったりと、敵強くなってる?と思ったもんでした。

単純に難易度名を変えただけじゃないとは思いますが、敵の出現レベルなどを見ても、多分、円卓MASTER≒今作ノーマルっていうのはそのとおりなんだろうなぁと思います。

とはいえ、前述の通り今作は成長スピードが上がっていたり、キャラの能力・クラス周りの自由度が上がったことから、決して高難易度・難しすぎるということもないかな、と。 割とちょうどいいというか、ほどほどにゆるく、ほどほどに死ねる感じですかね。

この手の作品に馴染みがない人は別に無理せずにイージーでもいいと思います(イージーでも死ぬときは死ぬと思いますし)。 無論、トロフィーやらなんやらに影響が出るものでもないですからね。

プラスの遊びとしては、「特別訓練」が追加されました。 これは制限付きの連戦を勝ち抜くことで、希少なアイテム類がもらえる……というもの。

ボスラッシュ的なバトルコンテンツの「神の座」とはまた異なる意味でチャレンジングなバトルコンテンツで、その内容も通常とは異なる戦法で戦う必要があったり、生徒たちをちゃんと万遍なく育てておく必要があるものまで様々です。

ただ、ひととおりプレイした上で書いておくと、あまりバトルコンテンツや限定品・希少品の獲得にそれほど興味がない人でも……少なからず本作のキャラやストーリーに愛着が持てたのなら、少なくとも「特別訓練 人」まではクリアすることをおすすめします。

「特別訓練 人」は、「特別訓練 天」「特別訓練 地」の両方をすべてクリアすることで挑めるものなのですが、本編ストーリーが気に入った人なら、ほんの少し、救われる“かも”な内容なので、見ておいて損はないかな~……といったところです。

とはいえ、結構簡素な内容なので、期待しすぎると肩透かしを食らうかもしれませんが。

Bad: いくつか、残念な点など。

基本的に、(少なくともPSP版を)置き換える完全版というか、良リメイクだとは思うんですが、いくつかちょっと残念な点も見受けられたので書いておきます。 とはいえ、致命的なものはありません。

  • 新要素との絡みで最序盤のバランスが危うい。
  • アイコン過多なステータス周り。
  • アイテム管理周りは改善してほしかった。
  • パフォーマンス面はもうちょっとどうにかなったのでは?
  • 自動移動で獣道を通行してくれない。
  • PSP版で良かった点がスポイルされている。

まず、この中で最も大きな部分としては「新要素との絡みで最序盤のバランスが危うい」というものが挙げられます。

今作のノーマルが円卓のMASTER相当であることと、キャラ加入時にキャラメイクがあることが、序盤で下手をすると詰みかねない状況を生んでいます。

序盤から強敵戦やボス戦があるわけなんですが、デフォルトから大きく外れたクラス編成にしてしまうと、突破できない恐れがある……ということですね。

そもそも円卓はメインクラスを変更できなかったですし、サブクラスの開放もまだ先の話……といったところで、序盤はストーリー進行上、バランスの取れたクラス編成になるように作られていました。

しかし本作ではキャラが加入するタイミングで自由にメインクラスや特性値までいじることができるため、組み合わせによっては非常に苦戦することになる……という塩梅なんですよね。

最初のダンジョンをクリアするまでは、転生システム(キャラメイク)を封印しておいたほうが親切だったんじゃないかな、と感じます。 そんな感じなので、これから初めてプレイする人は、最初のダンジョンクリアまでは、できるだけデフォルトの状態でプレイしたほうが……?

続いて「アイコン過多なステータス周り」ですが、文字通り、ほとんどのステータス類がアイコンで表示されているため、初見プレイ時にパッと見でどれがなにやらわかりにくい、という状態です。

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画像使い回しですが……下段にテキストで書かれた部分はともかく、その右隣のアイコン群が一体何を表しているのか、初見ではわかりにくいものも多いんじゃないかなと。 直感的では、ないですよね。

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こちらも使いまわしですが……画面上部のアイコン群、一体なんのアイコンなのかわかりますか? 経験者ならともかく、完全初見の場合は結構シンドいと思います。

アイテム管理周りは改善してほしかった」というのは、主にアイテム売買での利便性向上を図ってほしかったなぁ、というところですね。 せっかくのリメイクなので、円卓のままというのはちょっと……。

本作での回復アイテムや餌などの消耗品は、1スタック(ひとつのまとまり)あたり10個が上限。 例えば傷薬を100個持っていると、10スタック(アイテム欄の10枠を占領)になります。

これがゲームを進めていくほど管理が煩雑になってきまして、例えば倉庫に保管しようとしても1個ずつしか保管できなかったり、売却の際には一括売却があるものの1スタックずつだったり……と、かゆいところに手が届かない感じです。

1スタックあたりの上限を増やすのは、諸々の理由から実現が難しいと思われるので、せめて、複数選択で一気にアイテムの出し入れ・売却ができるようにしてくれれば、これらの問題が解決するのになぁ……とは感じます。

それと、プレイ終盤などで、大量にアイテムを買い込んだりするようになると、1個ずつor一括購入(1スタック分、つまり10個)しか購入できないのも手間。 個数選択できればなおよし、だったかなと。

パフォーマンス面はもうちょっとどうにかなったのでは?」ですが、具体的には処理落ちと戦闘前のロード周りのお話。

処理落ちは序盤に行くことになる森林ダンジョンで顕著です。 歩いているだけで、目に見えて処理落ちしてるなぁ……と感じますね。

幸い、本作はリアルタイム性のあるゲームではないですし、不快・苦痛になるレベルでの処理落ちではないので、あくまでも「気になる」程度かなと。

修正パッチが配信され、処理落ちは改善。 修正パッチの適用後では、処理落ちは特に気になることはないでしょう。 後述のロードについてはおそらく改善なし。

戦闘前のロードについては、エンカウント発生時に“Now loading…”が表示されるってことですね。 この点はPSP版よりもロードが長い印象で、微劣化部分かなと。

ただ、こちらもやってるうちに気にならなくなるというか、苦痛になったりするレベルではないと思います。

とはいえ、いわゆる美麗な3Dグラフィックで勝負しているタイプのゲームでもないのに、処理落ちやロードでもたつくのは最適化不足かな……とは思います。

自動移動で獣道を通行してくれない」は読んで字のごとくで、自動移動時に進行路上に獣道がある場合は自動移動できないんですよね。

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これが獣道。 壁に見えるポイントに実は道が……というギミックです。

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進入しようとするとダイアログが出るのが要因かなと。

恐らく、獣道の入り口に到達すると「獣道に足を踏み入れるか否か」の確認ダイアログが毎回表示されるのが原因の一つだろうなとは思います。

しかし、初回ならともかく、2回目以降は基本的に「獣道を通って目的地に行く」ケースがほとんどだと思うので、せっかく自動移動も入れたことですので、この確認ダイアログを出す必要性はなかったのでは……?と感じましたね。

幸い、この獣道ギミックは非常に限定的な使用に留まっているため、大きなストレスにはなりません。

PSP版で良かった点がスポイルされている」は……最初に言っておきますと、これはしょうがない! 契約とかいろいろと大人の事情があるでしょうから、正直なところ「こうなるだろうな」とは思っていました。

思ってはいたんですが、まぁやっぱり物足りないというか寂しいというかですね……。

具体的にはキャラボイス(イベントシーンなどにおけるもの)と、EDテーマの歌唱部分が、PSP版円卓から削除されています。

声優さん絡み、楽曲絡みなので、最初に書いたように「しょうがない」んだろうというのは理解して納得もしています。 でも、やっぱり物寂しいんですよね。

それくらい、PSP版円卓のキャラボイスが良かったし、とりわけEDテーマ「翼はいつまでも」のカタルシス増幅効果と来たら……! 円卓にぴったりの、エモーショナルな歌で最高だったんですけどね。 今作ではインスト曲に差し替えです。

しょうがないとわかっていても、納得できていても、ここだけはちょっと寂しい限りですね……。

……とまぁ、いずれもが軽微だったり局所的だったり事情的にしょうがないものだったりで、評価を下げる要素であったり致命的なものはなかったように思います。 十分に良作↑と言えます。

余談: ロロンちゃん。

この項ではイチオシ生徒のロロンについて、書いておこうと思います。 とはいえ、読む価値が私以外にあるかといえば、多分ないです。 ので、興味がない人はスルーでOKです。

まず、旧ロロンから新ロロンへのビジュアルの変遷ですが……新ロロンも可愛いものの、やっぱり旧ロロンのほうがいいなぁと思う次第です。

旧ロロン新ロロン1新ロロン2
旧ロロン

こちらが旧ロロン。

新ロロン1

こちらが新ロロンのデフォルトのビジュアル。

新ロロン2

こちらは新ロロンの前衛向き?のビジュアル。

ええ、どっちもかわいいですよ。 ロロンですからね。 しかし、よりロロンらしいのはどちらか?と問われれば、やはり旧ロロンなんじゃないかなと思うわけです。

彼女はフューミ村に住んでいる、いわば田舎娘です。 まずそのパーソナリティをより表現できているのは?と考えると、民族衣装風で垢抜けない感じの旧版じゃないでしょうか。 新版の、特に前衛向きの方は結構都会的というか、モダンな印象も受けます。

次に、「ちんちくりん度」。 これも、旧版の勝利でしょう。 デカい樽!(というか、身体が小さいのだろうけど) 飾り気も媚びもない萌え袖! 耳のフサフサモフモフ感! 圧倒的に……旧版の勝利ではないですか。

以上から、田舎に住む小柄な種族の女の子(女性)というイメージは、旧版のほうがより適している……という答えに至るのです。

ただ、改めて書いておきますが、どっちも好きです。 それは偽らざる私の気持ちです。

なお、PSP版はここに秋菜さんの声が乗っかってきたので、破壊力はロロン比12.75倍以上です。 いい感じにほろ酔い・飲んべぇな感じが出ていたように思いますし……であるからこそ、先の「翼はいつまでも」を秋菜さんが歌唱していたということ(そして素晴らしい内容であったこと)は、EDのカタルシス感を爆発的に増幅したことは言うまでもありません。

なお、自分なりの新旧イメージ比較結果は以下のような感じです。

  • 旧のほうが良かった: ロロン、サウル、バーゴ、マァリン
  • 新のほうが良いかも: ポポログ、チュップ
  • 甲乙つけがたし: エルサ、ルーミ、ミンツ、マイ、先生

自分でも意外だったのは、エルサとルーミ。 最初は旧のほうが……と思っていましたが、「ひとまず初回は新ビジュアルで……」とプレイしていくうちに、これはこれでイイなと。 そんな感じで甲乙つけがたし入りです。

先生も痩躯でもいいんですが、今回の少々ガタイがいい・むっちり系も捨てがたいなぁって感じですね。 素敵です。

ミンツは……ミステリアスさが薄らいだものの、鬼畜眼鏡感が出たので、違うベクトルに魅力が出ていいと思います。

ポポログは怪盗マスクっぽいアクセのおかげで、タヌキっぽくて可愛いし、チュップはシンプルに華やかで可愛らしくなったなぁ、とか。

ただまぁ、全体的に旧版のほうが味がありますし、新板のほうが万民向け(決して悪い意味ではない)で華やかなデザインになった気がしますね。

まぁ、結論としてはロロンはどっちでも可愛いってことなんですけど。 ロロンよ永遠なれ。

結論: ストーリーも戦闘も遊び込める作品。

……ということで、やや主観的で甘々な感じにはなった気もしますが、私としてはひとつのRPGとしてもWizライク・3DダンジョンRPG・ダンジョンクロウルとしても、自信を持ってオススメできる作品です。

もちろん、この手の作品をすでにたくさんプレイした人にとっては物足りないかもしれませんが、であっても本作がかなり遊びやすく仕上がっていることは感じ取ってもらえるんじゃないかなと。

そうでない人にとっては、本作が後に連なる作品群や、この手のゲームへの入り口として機能してくれる気がしますし、安心して(時に慌てつつ)遊べるんじゃないかなと思いますね。

本作には新釈・剣の街の異邦人も同梱されていますので、かなり長いこと遊べるはずです。 日本的でありながら丁寧でエピックな本作を、ぜひご堪能あれ。

P.S. 一通り遊んだけど、未だに大村正はおろか、村正すらお目にかかれていません……村正どこ……。

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