「巨影都市」、本作に何を求めるかで印象も変わりそうな作品。

巨影都市 イメージ

一応、プラチナトロフィー獲得まではやりましたが……これほど、「どう書いていいかわからない」ゲームもあまり経験がないというか。

その低品質さ・最適化不足感と緊張感のない道中に失望すらあった本作ですが、2周目にて印象は一変。 かなりニッチでエッジの効いたゲームではあるとは思いますが、それにしても価格に見合ってはいない印象。

そんな、なんとも言えない本作について、グダグダ書いていこうかなと。

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: コンセプトは目新しいものの、実態はリニアなADV。

ともあれ、まずはPVと冒頭30分くらいのプレイ動画を掲載しておきます。

本作は「絶体絶命都市」開発メンバーも携わっており、そのあたりの傍流と言ってもいいかもしれません。 私はそれらを未プレイなので、比較等はできませんが……。

主に特撮モノなどは、怪獣などの目線から描かれるか、人間との対比をしつつの並行描写がなされる傾向にありますが、本作は人間目線に比重をおいています。

ひとつの都市を丸々オープンワールド化し、そこで様々な人間模様が感動的に描かれる……!

……のかと思って買ってみたんですが、実際はそんなことはなく、ステージ(章)クリア制のリニアなADVでした。

ゲーム性としてもアクション要素は控えめで、逃げて回避して先に進むのみ。 面白みのほとんどは、随所の選択肢とその結果によって得られる印象すらあります。 なので、ゲーム攻略・プラチナトロフィー獲得の難易度自体は、かなり低い部類でしょう。

では、以下から内容について書いていきます。

: とにかく最適化不足。

まず、すぐに目に留まるのは、恐ろしく動作パフォーマンスが悪いこと。

PS4 Proでプレイしている動画も確認した上で書きますが、グラフィックレベルの割に、あまり動きのないシーンでも処理落ちが頻繁に発生するため、最適化が十分ではないのだと思われます。

本作のグラフィックのレベルは、人間のモデルやテクスチャーはそれなりに美麗なものの、それ以外のもの……町並みや、各種オブジェクトに関してはPS3初期のゲームレベル。 テクスチャー自体はHD画質で鮮明とは言え、全体的にチープな感じです。

更には、DOF(Depth of Field、被写界深度)表現が通常プレイ画面(カットシーン除く)においては十分とは言えないため、どうしてものっぺりしているというか、リアルさに欠ける印象です。

DOFバグ

これは画面全体にDOFのボケ表現が適用されてしまったバグ。

そんな、お世辞にもトータルで美麗とは言えないグラフィックレベル・ビジュアルにもかかわらず、本当に頻繁に、処理落ちが発生します。 ゲーム全体の3分の1強は処理落ちなんじゃないかと思うほどに。

見映えはともかくとして、せめて、安定60fpsとは言わないまでも、もう少し安定したフレームレートにするなり、いっそ固定30fpsにしてくれれば……と思いました。

横から映したカットとはうって変わり、背面カメラ時にガクガクなのがおわかりいただけるはず……。

また、本作はそのコンセプト上、リトライが前提な側面があるともいえます。 しかしながら、そこで問題となるのは、ギミックよりもロード時間。

本作は簡単な部類とは言え、終盤の一部シーンではそれなりの回数死亡しそうなところがあるんですが、ストレスを感じるのは死そのものよりもロード時間です。

一応、本作にはHPの概念があって、コスチュームやアクセサリーの装備によって底上げができたり、消費アイテムで回復ができます。 が、大抵死ぬような場面は即死ギミックによってなので、HPの上限が高かろうと回復手段が豊富だろうと、死ぬ時はアッサリ死にます。

まぁ、ここは「そういうもんだ」と割り切れる部分なのですが、その死のたびに、長いロードがやってくるのです。 これがツラい。 ツラくて、ウンザリしてきます。

そうしたトライアルアンドエラーをさせるタイプのゲームでは、失敗してもすぐにリトライできるような環境づくりが「良い方向性のストレスを与えつつ、悪い方向性のストレスは排除する」ことに繋がり、最終的に「何度失敗しても、もう一回!と挑戦したくなる」デザインになるんじゃないかと、私は思います。

その点、本作はそうはなっていないのであり、ストレスフルな印象を加速させているように思いました。 データのロードに関しても、最適化が行き届いていない感じかなぁ、と。

: 緊張感がなく、ツッコミどころしかない道中と……感動的()な結末。

そんな塩梅のクオリティーの本作ですが、それでもなお、プレイする価値のあるストーリーがあれば、そこを強くプッシュできますよね。

……プッシュ、したくてもできないんですよね。

イメージとしては人間ドラマが主体なので、そこで感動的な……人道主義的なサムシングが描かれるのだろうと、勝手に想像して期待していたんですが、決してそうでもないんです。

というのも、状況的に「今この状況で、なんでそんな言動になるんですか!?」ってなシーンが多すぎて、そもそものリアリティーがないんです。 それはつまり緊張感がなく想像で補うのは困難であり……納得や共感からも離れてしまうことでもあります。

例えば、以下のようなシーン。 ※若干のネタバレあり。

ゴジラ vs. キングギドラ

ビルの目の前で、ゴジラとキングギドラが戦っている!

社員1

そんなさなか、横に目を向けると……。

社員2

OK、君たちが勤勉なのはわかった。 でも、まずは逃げたらどうだい?

まぁ、これは大いに皮肉を含んでいるのだとは思いますが、リアルかというと……?

他にも、巨大な蛾が二体飛び回ってるのに身の上話に付き合ったりだの、店の前で汎用人型決戦兵器と使徒がバカスカやってるのに和やかにカレーを食べるだの……「いいから逃げろや!」ってなもんで、緊張感のあるシーンが皆無です。

カレー

ちなみに、カレー自体は結構美味しそうでした。

最大限、好意的解釈をするならば……「信じがたい状況に置かれた際に、パニックを通り越して現実を直視せずに日常的行動を継続しようとする、心理的防衛行動」のリアルさを描いた!のかもしれませんが、果たして。 ……無理があるかなぁ。

そんなこんななので、道中はツッコミを入れだしたらキリがありません。 疲れます。

いやしかし、そんな道中でも感動的な結末でありさえすれば! 終わり良ければ全て良しとも言う! ……そう、期待しておりましたが、やっぱりそんなことはなく。

なんというか、「は?」ってなもんです。 長らく引っ張ってきた伏線を回収はしているんですが、その感想が「は?」です。

一応辻褄合わせはしてあるんですが、承服しかねるというか、悪い意味でモヤッとするんですよね。 なんかイイ話風に持っていっているあたりが余計にそう感じさせるのかもしれませんが。

そんなこんなで、ストーリー面もお粗末な出来としか言いようがありません。

……と、ここで終わっていたら、“クのつく”ゲームと貶していたかもしれませんが、この状況は2周目で変わりました。

: 真面目にやろうとしなければ、バカゲーとして楽しめる。

製作側がどの路線が本来の想定なのが不明ですが、バカ路線で遊べば、結構楽しめるんです。

そのあたりの話の前に、2周目について書いておきます。 本作には周回プレイらしきものはあることはありますが、引き継げるものは非常に限定的にして非実用的です。

集めたアイテム・装備やお金といったものは一切引き継げず、引き継げるのはギャラリー的なもののみ。 2周目だからといって、1周目より楽に進行できるだなんてことはありません。

なので、実は2周目といいつつ、システム的な2周目ではなくて普通のNew Gameをしたんですが……先にも書いたように、攻略する上でアイテムや装備の重要性は皆無なので、困らないといえば困りません。 しょんぼりといえばしょんぼりですけどね。

話を戻します。

そんなこんなでトロフィー回収目的で、真面目にプレイした1周目とはプレイ方針を変え、道中をふざけながらプレイすることにしたんです。

そうしたら……掲載したプレイ動画のようになりまして。 これがもう、本当にバカらしくて、もともとなかった緊張感ともマッチして、存外笑えたんですよね。

例えば、ヒロインを差し置いて我先に列車内に逃げ込むだの、追ってくるヤクザにヒロインを突き出して難を逃れようとするだの、ヤクザの接近を何らか(動物や沸騰したヤカンなど)のモノマネをして切り抜けるだの……。

無論、基本のゲームプレイ部分は変わらないので、そちらが楽しくなることはないんですが、少なくともストーリー面はアレな結末までも含めて「バカゲー」ということであれば楽しめちゃったんです。

ただ、これは1周目を真面目にやっていて落胆したことと、2周目は友人にプレイを見せながら(+通話しながら)プレイしたこと……が影響しているかもしれません。

1週目を真面目に遊ぶことにより……とは言うものの、それが思うような体験・感動を提供してくれるものではなく、落胆と失望しか生みかねないので、「こんなゲーム、二度もプレイしたくない」と思ってしまうリスクがそれなりの大きさで鎮座しています。

そんな危険を冒してまで2周するのもなんか違うよな……と思いますし、1週目でバカ路線で遊んでも果たしていいのか?(せっかくのロールプレイ的要素を潰すため)とも思わなくもなく。

よって、これから本作に触れる際、どういうスタンスで挑めばいいのか……というのが、なかなか示しにくいんですよね。

ただまぁ、ただでさえストレスフルなクオリティーで、お世辞にも褒められたものではない内容と尺と価格を考えれば、最初から思い切ってバカを通すのがいいのかもしれません。 そうすれば、以下の様なものも楽しめるでしょうし、全てのツッコミどころも「バカゲーだから」で乗り越えられるかもしれません。

懐中電灯

その手に持ってるものを使えよ。

スケール感

カゴのスケール感が迷子。 後ろの棚にある弁当、カゴに入らないじゃないですか!

外道

2周目の主人公の彼には、いざとなったらヒロインを盾にしたり炎に巻かれるのを嘲り笑ったりする、外道・三崎ケンとして生き抜いてもらいました。

ラジコン操作を要求される、カメラ固定バグ。

カウントダウンを待たずに爆発する倉庫(こちらは仕様)。 なんのためのカウントダウンだ。

: その他のダメなところ。

まぁ、なんというか、バカゲーだという点をおさえても、褒めるところよりダメな部分が目立ちます。 粗探しをせずとも、粗の方からやってくる感じで。

あまりにも数が多いので、これまでに言及がなかったものを箇条書きにしておきます。

  • 主人公とヒロインの立場の混乱。 恋人なの? 友達なの? 知り合ったばかりなの?
  • 一部シーンでの声優の演技。 シーンを見ずに台本だけ読んでいるかのような、状況やシーンとマッチしない抑揚の演技が散見される。
  • 巨影から逃げ惑うコンセプトなのに、巨影のいる方角へ向かわせられるシチュエーションが多い印象。
  • カットシーンへの遷移時の頻繁な暗転や、UIのレスポンスの悪さなどによる、全体的なテンポの悪さ。
  • 演出が全体的に下手。
  • 矛盾点がちらほら。 謎もちらほら(○○はどうやってあそこからここまで来れた?とか)。
  • ストーリーは基本的に強引な登場人物に流されてお使いを頼まれるような、主体性なく振り回されるだけのお話。
  • 分岐の多さなどに反してのリプレイ性の低さ。
  • 某シーンでのラブシーン(?)。 ラップもどき付きフルコーラスの歌をバックに3分間もチュバチュバんっ///とかキスしてんじゃねーよなげーよ。

: いずれにせよ、定価には見合わない。

最終的には2周目で幸い(個人的な)評価は上方修正しましたが、それを踏まえても、フルプライスの価値を本作に見出すのは不可能でした。 “クのつく”ゲーム判定をする人がいても不思議ではないですし、それをして「本作の楽しみ方を知らないだけ」と言うのも苦しい塩梅です。

私が発表時に本作に注目したのは、コンセプトだけでなく、ゴジラやウルトラマンといった巨影……特撮モノの版権に対する関心があったからです。

しかし、実際遊んでみるとその辺の絡みも薄く、クロスオーバーもなく、あってもなくてもよかったんじゃね?くらいの取ってつけた感を否定出来ないようなシロモノ。

さらに、プレイ時間もどうゆっくりやっても10時間もあればクリア&トロフィーコンプリートもできるようなボリュームと、このクオリティーでは、とてもじゃありませんが数千円も払う価値は見いだせません。

個人的にはそうした特撮モノなどが好きであれば2480~2980円、そうでないなら1980~2480円くらいでなら、プレイしてみてもいいとは思います。 これくらいであれば、場合によっては価格以上に楽しめる可能性も残されますし、滑っても傷は浅くすむでしょうから。

巨影都市(PS4) | 公式PlayStation™Store 日本 ※DL版限定特典つき

投稿者プロフィール

壬生狼

みぶろと読みます。 活動名は他にmiburo666・Lupus(ルプス)など。

ゲーム、音楽、映画などが趣味。 このブログではゲーム系記事を公開しています。

現在のアイコンはPSO2のマイキャラであるルナール。


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