「マン・ダウン 戦士の約束」 小粒ながらメッセージは重い。 そんな戦争映画。

マン・ダウン 戦士の約束 イメージ

やるじゃん、アルバトロス×クロックワークス!

何やら戦争映画と、ポストアポカリプス的なニオイのする作品があったので借りてみたんですが……パッケ裏情報から想像したのと違うじゃないですかコレ!

……という製品上の問題はあるものの、作品としては小粒ながらもかなり重いテーマを扱っており、見応えは十分でした。

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: パッケ裏などの概要にダマされてはいけない。 戦争アクションではなく戦争ドラマです。

というわけで、まずは予告編を。

予告編を見る限りだと、本作は戦争とポストアポカリプス的な要素を混ぜ込んだアクション映画のように見えますし、曲も割とスケールが大きそうな印象を受けるかもしれませんが、そんなことはありません

中には、有名所のメディアや映画サイト(ワー○ーとか)、パッケージなどに至っては本作を“アフガニスタン紛争から帰還した海兵隊員が挑む、極限サバイバル・アクション!”などと書いていますが、全くそんなことはありません。 嘘っぱちです。

本作を表現するならば、戦争をテーマにしたヒューマンドラマ以外の何物でもなく、アクションをメインとした構成でなければサバイバル要素なんてどこにあるんじゃいってなもんです。 それこそ予告編だけ見て想像で書いたんじゃないの?ってなレベルのヒドい紹介文だと思います。

とはいえ、この手のB級映画において、予告編や紹介文と実際の内容・雰囲気と大きなズレがあることは(困ったことに)そう珍しくもないのです。

「オーガスト・ウォーズ」とか「グッド・ネイバー」もその典型で、中には「思ったのと違う!」ってな理由で楽しめない人もいるんで、もったいないことをしているなぁと。

まぁそれはともかく。

映画を構成するのは紹介文より予告編に近く、アフガン戦争を経験したある兵士のお話で、物語は複数の時系列(タイムライン)のお話が入り乱れつつ進行していきます。

海兵隊に入隊して、出発するまでを描く時系列。 ペイトン中尉との面談という形で、戦中を回想し「ある事故」に迫っていく時系列。 そして、荒廃した世界を、相棒と二人で妻子の姿を求めてさまよう様を描く時系列。

それぞれのシーンがどの時系列なのかを判断すること自体は難しくないものの、割と唐突に時系列が切り替わったりするので、若干混乱しがちではあるかもしれません。 これのせいですんなり頭に入ってこず、わかりにくいという声もありますが、頷けますね。

ただ、それがあってこそ、本作の結末に意味があるのも事実で……シンプルに、ストレートに描いていたのでは印象が薄くなっていた気がしないでもないです。

プロローグシーンの先はどうなるか? 戦争中に起きた「事故」とは? なにがどうなって、このように世界が荒廃してしまったのか? 「マン・ダウン」の本来及び作中での意味と、それをタイトルにした意味とは?

漫然と見るのではなく、そうした部分に常に疑問を持ち、自分なりに考え、次第に明かされていく情報を整理しながら見ていくと、鑑賞後には少なからずなにか残るものがあるのではないでしょうか。

: 先が読める部分が多いものの、決してそれは欠点にはなっていない。

衝撃のラストがどうたらとか書いていますが、そういったどんでん返し……エンターテインメント性のある映画ではないと思います。

まぁ、ラストというか終盤付近で謎が解けた後は、確かに“えぐられる”んですけども、びっくり仰天!という類の娯楽性のあるモンじゃあないなぁとは。

本作は戦争をテーマにしたヒューマンドラマ(≒戦争ドラマ)なわけで、ド派手な戦闘シーンがあるとかではないです。 家族愛も重要な要素ではあるものの、全体として割と地味ですらあるので、ある程度物語が動き出す序盤は退屈に感じる人も多いのではないでしょうか。

ただ、前述の通り、本作は時系列描写が入り乱れた形で進行していくため、得られる情報を時系列ごとに整理しながら見ていくと、見応えはあるのではないかなと思います。 難解ではないですが、少し大変かなぁという塩梅で。

そうして中盤~終盤に入るかどうかあたりで、それなりに映画を見ている人ならば「あ、こういうことか」っていう予測は立ってしまうのではないかなと。 そして多分、その予測は外れないとも思いますが……しかし、それが本作をつまらなくしているかというと、そうではないんですね。

予測がついてつまらなくなる映画もありますが、予測がついても楽しめる映画もたくさんあります。 本作はどちらかと言うと後者寄りで……楽しむという表現が正しいかはわかりませんが、タネがわかってしまったとしても、物語や主人公の行く末を見届けたいと思わせてくれる作りになっています。

ただ、早々にそうして「こういうことでは」と予測がついて、終盤でタネ明かしがあった後からが、ちょっとクドいというか冗長な部分こそありました。 いや、うん、もうわかったから、ここまで丁寧に映さなくていいよ……という類のものです。 ここは、構成的に混乱を招きがちだからこそ、とても丁寧に映したのかもしれませんが……。

そうして物語が決着を見た後。 最後の最後に、あるひとつの情報がもたらされるわけですが……これは確かに衝撃的というか、「なんとなく、そうなんだろう」とは思いつつも、具体的には知らなかった事実を突きつけられて、なんとも言えない気持ちになりました。

こここそが最終的に本作が知ってほしいことなのでしょうし、現実問題としても深刻な問題でもあります。 仮に周知したとしてもどうにもならない規模の問題かもしれない……けれど、少しでも変化が生まれるのなら、こういうテーマの映画が度々登場するのは必要とされているからなのかな、と思います。

もちろん、主人公と主人公を取り巻く環境の(悲)劇的な変化も、なかなかヘヴィではあるのですが、その先に一歩進んで思いを馳せてみると、よりヘヴィな事実とテーマ、問題提起したいことが見えてくるはずです。

: 主人公・ガブリエルを演じるシャイア・ラブーフの変化が好印象。

本作には名実を備えた演者が出演していますが、中でも、主人公の海兵隊員・ガブリエルを演じた、シャイア・ラブーフがいい感じに「私が彼に抱いていた過去の印象」から変わっていたのが好印象でした。

シャイアを強く認識したのが「トランスフォーマー」なもので、童顔で頼りない青年というイメージが強く、他のなにかの作品でもそんな感じだったものですから、それほど好きになることもなく今日まで来ていました(現時点でまだフューリーを見てないので、久方ぶりに顔を見たくらい)。

で、本作の彼はというと……童顔なのは、まぁ、仕方ないというか相変わらずなものの、しっかりと俳優として……あるいは役柄が成長しているなぁと思いまして。

劇的に演技派になったというわけでもないんですが、とりわけ目の表情の出し方、つまりは目の演技に関しては非常に良くなったと感じました。 もしかしたらこの辺は「フューリー」でも確認できるのかもしれませんが、すごくいい目の演技をしていたなぁと。

それと、妻子持ちの父親という役も、前の印象なら「合わないだろ……」と思っていたところですが、本作ではちゃんと若い父親らしさを演じられていて、そこも再評価した次第です。

: 何度でも再確認・再認識すべきことがある。 解決し得ないゆえに。

というわけで、非常にもやっとしていて冗長に書いてきましたが、まぁ、気になったら見てみるのが手っ取り早い映画ではあります。

正直なところ、ポストアポカリプスなアレ以外は、これまで見てきた映画でも描かれていたことなので、新規性はさほどのものでもないです。

が、それをして「見る価値はない」のではなく、むしろこうして、何度でも再確認・再認識していくべきテーマ・問題を扱っているのが本作なのです。

その問題は、おそらく、残念ながら解決する日はやってこないか、解決がとてつもなく困難なものです。 しかし完全解決ができなくとも、少しでも改善していくための努力を怠るべきではない問題でもあり、一人でも多くの人の協力が必要不可欠なことでもあるので、こうして映画を通じて訴えかけているのでしょう。

まぁ、今の戦争とは縁遠い感じの私達ではありますが、こうしたことを知っておくのは全くの無駄ではないはずです。 たとえ、遠い国の出来事・問題であったとしても。

90分と比較的コンパクトな尺なので、なにかのついでに、そしてじっくり見てみるといいと思います。

投稿者プロフィール

壬生狼
みぶろと読みます。 活動名は他にmiburo666・Lupus(ルプス)など。
ゲーム、音楽、映画などが趣味。 このブログではゲーム系記事を公開しています。
現在のアイコンはPSO2のマイキャラであるルナール。
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