「死印」素晴らしいアートとサウンドで魅せる、上質なホラーADV。

死印

こういうのを、待っていた。

(いい意味で)Wiz系RPGばっかり作っているエクスペリエンスが手がけるホラーゲーム……一体、どんなもんじゃい? ということで、触ってみた本作「死印(しいん)」。 快適性は今一歩なものの、内容にはかなり満足いくものとなっていました。

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: 国内では今どき珍しい、ポイントクリック型ADV。

まずはトレーラーをば。

プレイヤーは、刻まれると死ぬという“シルシ”を刻まれた人間……印人として、ある洋館へ導かれます。 そして“シルシ”はなんらかの怪異が刻みつけるものであり、その怪異をどうにか消し去れば“シルシ”も消え、命が助かる……ということで、同じく集った印人と協力して怪異を消し去る方法を探していくことになります。

メリイ

館には“シルシ”や怪異について情報を提供してくれる人形、メリイが待っています。 彼女曰く、生き残るためには怪異を消す必要があるとのことですが、それにも危険が伴います。

ゲーム自体は“シルシ”や怪異についてを描写する会話パートと、怪異を消し去る術を探し求める探索パート、そして実際に怪異と対峙する戦闘パートが絡み合うことで成立しています。

探索パートは同社の得意とするWiz系RPGの3Dダンジョンを彷彿とさせますし、簡易な戦闘パートが組み込まれているのもユニークなところです。 ポイントクリック型ながら、少し手触りの異なるデザインと言えるでしょう。

調査

ポイントクリックADVとは、その名の通り、怪しい場所を選択して調査し、情報やアイテムを得て物語を紐解いていくタイプのゲームです。

マップ

ミニマップ表示など、同社の得意とするダンジョンRPG的な匂いが感じられます。

デッドリーチョイス

デッドリーチョイスシステム。 時間制限のある選択肢の亜種とも言えるもので、霊魂が尽きる前に正しい選択を続けて成功させないと……。

怪異との対峙

各章の大詰めには怪異との戦いが。 これまでに得た情報とアイテムを駆使して生き延びることになります。 戦い方によって、直後の展開に変化も……?

ステータス

一応、登場キャラにはステータスが設定されていますが、この能力値がゲームに影響することも、成長することもありません。 あくまでも「そのキャラを数値で表現しただけ」のものです。 でもRPGっぽいですよね。

そんな本作は、マップ移動時のテンポが悪い(「階段を上った……」とか表示される&ウェイトがやや長い)とか、その際に向きが勝手に変更される(誤操作の原因になる)など、細かい不満はあって粗い部分は少なからず残っていますが……それらを補って余りあるほどには、心惹かれる内容になっていたように思います。

: 都市伝説系のストーリーがイイ。

私はオカルトやら都市伝説や怪談、神話・伝奇などといったものが好物です。 これは信じるとか信じないとかじゃなくて、単純にその胡散臭さ(裏返せば神秘性)に惹かれているということですね。 なんかワクワクするんですよ。

特に都市伝説・怪談は現実に地続きであって、ロケーションなんかは学校だったり廃屋だったり病院だったり……と、身近というか実際に目に触れたり足を運ぶことが可能な場所だったりしますよね。 そうした日常と非日常を連結して面白さや怖さを感じさせてくれるからこそ、多分、私は上記のような物語が好きなんだと思います。

本作はそんな中でも都市伝説や怪談にありそうなものをベースにしています。 夜に鏡を見ると少年が問いかけてくるだとか、樹海に不気味な巨漢がいるだとか……。 これらを怪異と設定して、物語に絡めています。

で、主人公たちは前述の通り“シルシ”を刻まれているんで、そうした怪異について調査して、生き延びる方法を模索するわけですが、その過程で怪異がもとはどういった人間であったのか・どうして怪異に変じることになったのか……といったことも知っていくことになります。

この部分が面白い。

都市伝説や怪談においてもバックグラウンドが存在するものはありますが、本作のそれはかなり詳細に考案されていて読み応えがあるんですよ。 それに、設定や状況に一定以上のリアリティもあったりして。

それが、怪異だけでなく登場人物にも仄暗い影なんかが存在していて、どこへ行っても闇が染み渡っているというか。 こうした取り組みが、本作の持つダークさをひときわ強くしているように感じました。

そして不条理・理不尽になりがちな物語も、本作はちゃんと伏線を回収してカタルシスすら存在しています。 単に不気味で恐ろしいだけでなく、ちゃんとお話としても成立・完結していて、楽しめました。

なお、先に紹介した怪異との戦いの結果などで、本作は(死亡エンドを除き)2つのEDに分岐します。 怪異との戦い方次第では、行動をともにしたパートナーが○○○○○○で××××なことになってしまうかもしれません。

: 秀逸な音響効果とイラスト群が臨場感を引き立てる。

ホラーで重要なのは、視覚と聴覚。 不気味で不快なビジュアルと、不穏なサウンドで恐怖心などを煽るのです(ビックリ系……ジャンプスケアとかいうらしいですが、ビックリと怖いってちょっと違いますよね)。

本作ではこの点が非常に優れていて、2Dアートと効果音という昔ながらの手法でありつつ、存分に緊張感と恐怖感を味わわせてくれるのです。

エログロ

1枚絵はエログロ系のものが多い印象。 エロとグロは隣接していて、そのいかがわしさも本作のゲーム体験に良いスパイスとして作用しているように思います。

怪異イメージアート

クリア後特典のギャラリーより、怪異のイメージアート。 暗部の表現がもうGREATとしか言いようがなく、闇と空間に有と無の恐怖が凝縮されています。

怪異のデザインも秀逸そのもので、各自の出自に見合った(?)生理的嫌悪感を引き出すような……醜悪ながらも目が離せない魅力的なものになっていて最高です。 くちゃら花嫁とか観音兵のデザインは際立ってます。 それがね、戦闘時はゆっくり近づいてくるんですよ……嫌過ぎる!

その上で盛り上げるのが音響面。 BGMはそれほど多くの場面で流れず、環境音だけが聞こえるシーンが多い(特に探索時)んですが、これが効果大。 オーソドックスな風音や、“縄”の軋む音……などなど。 ロケーションに合った、あるいは合っていない音を流すことで、視覚と聴覚にどんどん神経を持っていかれます。 こえー!

ホラーゲームが好きならぜひとも部屋暗くして(目を悪くするのでほどほどに……)、ヘッドホン装着の上でプレイしてほしいですね。 たまりませんよ、FPS形式のホラーアドベンチャーともまた違う怖さがあります、言うなればジャパニーズホラー的な。

: 続編にも大いに期待したい作品。

流行り神的な作品を渇望していたこともあって、すごく楽しめました。 PS4版で追加(Vita版にはDLCとして配信)された追加エピソードを見るに、続編も作れるような感じであったので、ぜひとも、作ってもらいたいなぁと思えるほどにはどっぷりと浸れました。 まぁ、精神的後継作が作られているとかで、直系の後継作が出るかはわからんのですが。

サラッと書いたようなテンポの悪さや、微妙な物量のパートボイス、(どちらかというと食い足りない的な意味での)ボリューム不足とそれに対する価格の高さ……など、粗い部分や欠点はあるっちゃありますが、それ以上に本作から感じられるポテンシャルの高さと魅力は捨てがたいものがあります。

プレイ自体は20時間ちょっともあればひととおりのクリア&トロフィーコンプリートまで行けるボリュームなので、そこがちょっと気になる人もいるかも知れませんが……そのプレイ時間は濃密なので、短期集中で楽しみたい人にはオススメです。

キャラごとの描写密度の偏りは追加エピソードで(不完全ながらも)改善もされていますし、体験版をプレイして「楽しめそうだ」となったのなら、全部入りのPS4版(ないしSwitch版)をプレイするか、Vita版で追加エピソードのDLCも込みで購入・プレイするのがいいでしょう。

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投稿者プロフィール

壬生狼
みぶろと読みます。 活動名は他にmiburo666・Lupus(ルプス)など。
ゲーム、音楽、映画などが趣味。 このブログではゲーム系記事を公開しています。
現在のアイコンはPSO2のマイキャラであるルナール。
記載されている会社名・製品名・システム名などは、各社の商標、または登録商標です。
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